このツールが計算する内容
平面の地図の上では2つの地点が互いに見えているように見えても、実際には見えないことがあります。2地点の間にある尾根や丘、盛り上がった地形が、両方の地点自体は開けた場所にあっても視界を遮ってしまうことがあるからです。このツールは、配置した2つの地点の間に3次元の直線を引き、その直線に沿った地表の標高をサンプリングし、地形、あるいは十分な距離がある場合には地球そのものの曲率が、2地点の間のどこかでその直線より高くなっていないかを確認します。何も直線を上回っていなければ、2つの地点は互いにはっきりと見通せます。
使い方








見通し線分析の歴史
2つの地点が互いに見えるかどうかを確かめることは、測量と軍事計画における最も古い課題のひとつです。軍隊は、次の地点を見通せることを条件に選んだ丘の頂に狼煙台や旗による中継拠点を配置しており、19世紀にヨーロッパ各地に築かれた光学式電信網も、塔と塔の間の見通しをほぼすべての設計の基盤としていました。同じ課題は20世紀にも、見通し線を必要とするマイクロ波中継網という形で再び現れます。人工衛星や光ファイバーが普及する前、電話やその後のデータ通信を担うには、数十キロメートル離れた塔の間に障害物のない通信路が不可欠でした。1970年代から80年代にかけてラスター型GISソフトウェアが成熟すると、可視性分析は「ビューシェッド(視域)」という手法として体系化されました。これは、ある地点から見えるすべての場所の集合を指します。この手法は現在も、携帯電話基地局や風力タービン、山火事監視塔、無線中継局の設置場所選定や、パイロットの直接目視による見通し内飛行が法律で義務付けられることの多いドローンの飛行計画に使われています。
地球の曲率と大気の屈折が重要な理由
短い距離では地表の曲率はごくわずかで、結果を左右するのはほぼ地形の障害物だけです。しかし地球の表面は、完全な直線の下で実際に曲がって落ち込んでおり、およそ1〜2キロメートルを超えるとその落差は無視できない大きさになります。たとえば10km先では、丘がまったくなくても、幾何学的な理由だけで地表が直線から数メートル沈み込みます。また、光も大気の中を完全な直線では進みません。高度が上がるにつれて空気は薄くなり、これが光をごくわずかに下向きに曲げ、地球の曲率に沿うようなかたちで、純粋な幾何学だけで予測するよりも少し遠くまで見えるようにします。このツールは、経路上でサンプリングした各地点において、この2つの効果を合わせて補正します:
- 地球の曲率による落差: 2地点を結ぶ直線の下で、地球の表面がどれだけ沈み込むかを表します。両端ではゼロで、中間地点で最大となり、距離の2乗に比例して大きくなります。
- 屈折係数(k): 大気が光を下向きに曲げる度合いを補正する係数です。このツールでは、日常的な光学的・目視による見通しに使われる標準値である k = 7/6 を使用します。
- クリアランス(余裕): サンプリングした各地点における、直線の見通し線と地形との垂直方向の隙間に、曲率による落差を加えたものです。クリアランスがマイナスになる地点があれば、その地点で視界が遮られていることを意味します。
動画で見る — 2分でわかる見通し線 計算ツール
読むより見るほうが早いという方のために、短い動画を用意しました。2つの地点の配置と、その間の地形が視界を遮っていないかを確認する方法まで、一通りの流れを紹介しています。
よくある質問
実際の活用例
標高データの出典
地表の標高データには、NASAと日本の経済産業省(METI)が共同で作成した衛星由来の全球サーフェスモデル「ASTER GDEM v3」を使用しています。地球上のほぼ全域を水平解像度30メートルでカバーしています。これは地表そのものではなくサーフェス(地表被覆を含む面)のモデルであるため、開けた地面だけでなく樹木や大きな構造物の大まかな形状もある程度反映されますが、解像度30メートルでは個々の建物や塔、幅の狭い尾根線までは表現できず、標高の精度もおおむね数メートル程度です。結果が「見通せる/遮られる」の境界に非常に近い場合は、確定的な結果ではなく判断が難しいケースとして扱ってください。また、元になった画像の撮影後に建てられた樹木や建物などの障害物が、データに反映されているとは限らない点にもご注意ください。
その他のおすすめツール
Map tiles © OpenStreetMap contributors and Protomaps (hosted by KONAKTIVE), CARTO, Esri (satellite & terrain). Elevation data from OpenTopoData (ASTER GDEM v3). All line-of-sight geometry is calculated locally in your browser — no location data is stored on any server.
